日本のアニメ・特撮脚本家、推理冒険作家、漫画原作者、旅行評論家、エッセイスト、デジタルハリウッド大学名誉教授。愛知県名古屋市出身。愛知県立旭丘高等学校、名古屋大学文学部卒業。本格ミステリ作家クラブ第3代会長。日本アニメ界を黎明期から支えた人物の一人。東京在住だが、仕事場は熱海にある。かつては松本市の浅間温泉にあった。 「実家はおでん屋」とも語っているが、父は衆院議員・中日電機工業会長の辻寛一である。幼少時からまんが映画を好み、週末は名古屋宝塚劇場にアメリカのアニメーション映画を鑑賞しに行った。その後、戦争が始まると軍需工場で働いた。 NHKで『バス通り裏』や『お笑い三人組』『ふしぎな少年』等の演出を担当する一方で、桂 真佐喜の筆名で『鉄腕アトム』などの脚本を執筆。NHK退職後は本名で多くの作品に参加。虫プロ時代には、後のSF作家である筒井康隆、小松左京、平井和正、眉村卓、豊田有恒、半村良らと交流があった。 旧「宝石」の新人賞候補作が商業誌デビュー作という経歴を持つ。ジュブナイル小説、トラベル・ミステリを量産する一方、叙述トリックを駆使した実験的なミステリも多い。後者の傾向の代表作に『合本・青春殺人事件』『デッド・デテクティブ』、日本推理作家協会賞を受賞した『アリスの国の殺人』などがある。 また、『迷犬ルパン』シリーズを書き、その中に三毛猫ホームズや片山刑事が登場する『迷犬ルパンと三毛猫ホームズ』がある。 アニメ『サザエさん』の第1回放送(1969年10月5日)の第1話『75点の天才!』も辻の脚本である。サザエさんでは2012年現在もごくたまにだが脚本を書いている。他に、『ルパン三世』、『どろろ』、『Dr.スランプ』など、多くの漫画・アニメ作品の小説版も手がける。テレビアニメ『一休さん』の初期の脚本も書いていたが、途中で他の脚本家にバトンタッチされている。『デビルマン』では、原作者である永井豪との打ち合わせにおいて、その話作りの発想を目の当たりにした永井に天才と称された。『宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)』など、特撮作品での脚本執筆も多い。自身のエッセイ『TVアニメ青春記』では、1980年代後半以降、アニメ脚本をあまり手がけなくなったことが書かれているが、以前と比較しての話という感もあり、2013年にも『名探偵コナン』の脚本を、2015年には『コンクリート・レボルティオ』第9話の脚本を執筆している。 辻真先(つじまさき)のアナグラムである牧薩次(まきさつじ)は、作中人物であると同時にいくつかの作中作(メタフィクション的な実験作にも意欲的であった)の「作者」でもあるが、実作品の名義としたものも(『完全恋愛』)もある。 日本SF作家クラブ会員だったが、2013年、他のベテラン作家らとともに名誉会員に。