パルス国のダルバンド内海沿岸に広がるダイラム地方の旧領主。初登場時26歳。アルスラーン軍の軍師にしてアルスラーンの政治・軍事の師匠。政戦両略に長けており、かつてチュルク・トゥラーン・シンドゥラの3国による連合軍が攻めて来た際、流言を巧みに用いて連合軍内に内紛を引き起こし、見事撃退した。その功により、アンドラゴラス3世によって宮廷書記官(ディビール)として抜擢される。しかし、度重なる諫言をアンドラゴラスに忌避され、さらには役人の不正を暴いたことから命を狙われたため、宮廷書記官の座と領地を返上してバシュル山に隠棲していた。アトロパテネの戦いに敗れて落ち延びたアルスラーンとダリューンを匿った際にアルスラーンの「説得」を受けて再び世に出る。シンドゥラ語を始めとする各国語を解し、政務・軍略双方に深く通じる。シンドゥラ王位継承戦役の後は、中書令(サトライプ)に一時的に就任するが、その地位をルーシャンに譲り軍師の役職である軍機卿(フォッサート)の地位につく。文弱の貴公子と思われがちだが、剣の腕前も達人級である。アルスラーンにパルス国の旧体制や奴隷制の誤りを説き、後のアルスラーン政権の礎を作る。優しげな容姿に似合わない毒舌家でもある。趣味の画才は知勇とは遠くかけ離れたもので、親友のダリューンにことあるごとにけなされている。陣営に加わる際にアルスラーンより「宮廷画家」の地位を約束されており、エクバターナ奪還後にはキシュワードやクバードからも論功行賞の行方を不安視された。